2009年地区大会のメインフォーラムにティンレー首相をお招きし、その際に何度も出てきた「国民総幸福度(GNH)」で有名なブータンであるが、最近は事情が少し変わってきているらしい。7/1付の朝日新聞の一面である。鎖国に近い状態からTVやネットが解禁されたことにより、消費に火がついたそうだ。当時のメインフォーラムでのテーマは、「物心両面での幸福」であった。ところが、今のブータンは、精神的豊かさから物質的豊かさへ移行しつつある。国内の自動車登録数は5年前から倍増したが、インフラが追い付かず、信号機がなく、交通事故が絶えないそうだ。また輸入品が並ぶ大型スーパーが開店し、2011年の国内個人ローン総額は2008年の3倍とのこと。これまで独自のものさしによって環境や公平さに配慮してきたブータンで一気に消費(買い物)の魅力に目覚めている。収入が支出に追いつかない状態でになっている。そこで政府は、自動車関連税を40%アップを打ち出した。現状でも最大50%。実際に引き上げられれば、90%になりほぼ倍だ。結局、この増税案は認められず、増税幅の縮小となったらしいのだが。こんな現状のブータンでも「増税の前にすることがある」という言葉を良く耳にするらしい。今の日本も同じ言葉が出てくるが、大幅な成長が見込まれない現代の中で税をどのように考えるのか。豊かさを求め続けた結果のこの現代社会において、今後どのような社会を目指すのか、我々は本当に考えなければいけないと思う。3年前の総選挙において、国民が選んだ結果は今の社会である。地区大会期間中に総選挙が行われ、またティンレー首相の講演があったというのも因果であろうか。