私事で恐縮であるが、恩師が亡くなられた。退院したのは聞いていたので少し安心をしていたのだが。私の人生において大きな影響を与えていただいた一人だ。この先生は、中学校の野球部の顧問で体育の先生である。当時の野球部は2学年上が全国大会に出場し、1学年上が元阪神タイガースの新庄さんがいて、私達の時は九州大会まで行った、まあ地元では強豪として有名な中学だった。中学生の部活はほとんど指導者によってどうにでもなる。先生は、もともと野球経験者ではなく、サッカー選手だった。つまり野球についてはど素人。そんな先生が、福岡県では有数の強豪校にまで押し上げたのは、並々ならぬ情熱と生徒に対する愛情だと思う。とにかく、厳しい。1年の最初の練習日は元旦である。陸上部以上に走る毎日。試験中の部活の練習が休みの時も、ユニフォームではなく、体操服で走らされる日々。また私ともう一人の生徒は、毎日自主練習日誌を書かされていた。家でのトレーニングを書く日誌である。いつもはランニングをするのだが、ある日豪雨だったのでその日は中止にすると、翌日烈火のごとく怒られた。先生「なぜ、走らない!」→末松「豪雨だったので」→先生「それがどうした!走るのに何か関係あるのか?」→末松「いえ…」こんな調子だ。いい訳をしない。できない理由をつくらない。やらされる事とやる事の違い。そんなことを肌で感じた毎日の部活だった。今では問題になるであろうが、殴られたり、蹴られたり。尻バットでバットが折れたこともあった。しかし、本人も親も一言も文句は言わない。なぜならば自分が悪いことは理解しているからだ。無論、体罰を肯定しているわけではないが、当時は体罰とも思わなかったし、今もなお思っていない。それは愛情があるから。7月度の例会で平尾誠二さんに講演いただいた時、共感するとところがあった。「リーダーはリスクをとらなければならない」本気で相手を想い、本気でぶつかる。まさにこのことがリスクをとることではないだろうか。通夜・葬儀とも受付をさせていただいた。多くの弔問に訪れる方々を見ると、この先生はやはりリーダーであった。偉大なるリーダーであった。心よりご冥福をお祈り申し上げます。